| ※この話にはオチはありません。書き逃げいたします。ご了承下さい。 オールスターではありますが、台詞があるのは五年六年教師陣位です。 その日、突然に全校生徒が中庭に集められた。整列した生徒達の前に立つのはいつものお騒がせ老人、学園長の姿。 突然の事に教師陣さえも困惑若しくは諦めの表情を浮かべている。 「あー、これよりー。全校一斉混合委員会対抗戦を行う」 一瞬、誰もが学園長の言葉の意味を図りかね頭の中で数回繰り返す。 「あ、あの…学園長…おっしゃる意味がよく…」 「全校生徒参加で、混合で委員会対抗?この辺りがちょっと…」 教師すら例外ではなく恐る恐ると疑問を口に乗せた。 「じゃから!全校生徒が参加して、委員会別に組に分かれて対抗戦を行うのじゃ!」 「ああ、つまり委員会連合を作るという意味ですか」 「それはいいが、一体何のために…」 一応趣旨はやっと理解できたが、その意義は何だというのだろうか。尤もそれを聞いた教師の顔には半分諦めの色が漂ってはいたが。 「もちろん!最近何事もなく暇…いや、たいく…あーいやいや平和で生徒達がたるんでおると思ってな!いつもとは趣向を変えてみたんじゃ!」 「学園長、本音が駄々漏れ」 「結局それですか」 頭痛と胃痛を訴える教師達と共に生徒達にも軽い呆れの空気が漂う。 しかしそれで諦めるようであったらこの忍術学園の学園長などは務まらない。 「やかましい!やるといったらやるんじゃ!早速組分けを行うぞ!」 かんしゃくを起こしていつものように有耶無耶にしながらも、いつのまに用意したのか各委員会の名称が書かれた木札を取り出した。 どうやらこれを使ってくじ引きをするらしい。 硬質な音を立ててかき混ぜたそれらから、一枚を引き抜いて読み上げる。 「第一組は会計委員会じゃ!」 間髪を入れず、再び手を突っ込んでもう一枚。 「それから、体育委員会!」 そこまで読み上げた際に生徒達にどよめきが起こる。 「…どんな内容の対抗戦か知らないけど、体育と会計が組んだ時点でほぼ決定じゃないか」 「そりゃないよね、この組分け」 不満を述べるざわめきなどそ知らぬ振りで、更に学園長は木札を読み上げる。 「それから!図書委員会!これで第一組決定じゃ!」 「は?三委員会で一組?一体どういう分け方なんだ?」 「何にせよ、会計体育図書が組んだらどーすんだよ」 この三つの委員会以外の生徒達には既にお通夜ムードが漂っている。委員会がと言うよりも、各委員長が同じ組だという時点でやる気もそがれるというものだ。 そんな中、会計委員長である潮江文次郎はどんな内容であろうとも勝ちを確信した笑みを浮かべ、体育委員長の七松小平太はなんでもいいから面白そうだと目を細め、図書委員長の中在家長次はその表情の下に感情を潜ませていた。 「ありゃ〜、こりゃまたすごい組分けになったねえ」 困ったような笑いを浮かべ傍らの級友に話しかけているのは保健委員長の善法寺伊作である。隣の用具委員長・食満留三郎も苦笑を浮かべているが目つきは鋭く分析を論じる。 「まあ確かにな。だが少々偏り気味でもあるから…内容次第では裏目にでる可能性もあるな」 更にその横で作法委員長の立花仙蔵も頷いている。 「他の組分け次第ではどうとでもなりそうだ…」 そんな二人の分析を伊作は面白そうに聞いている。 ― あはははっ二人ともやる気満々。寧ろあの組分けの所為で負けん気に火がついた感じかな これはタダでは済みそうにないなと、脳裏に薬や包帯の在庫数を思い浮かべた。 そんな上級生達の思惑をよそに、学園長は次の木札を引き抜いていた。 「作法委員会、それから、火薬委員会!」 連続して読み上げられたその名称に仙蔵の口元がにやりと笑みを形作った。それに対し文次郎の眉が寄せられる。 人数的には不利な火薬ではあるが、作法と…寧ろ仙蔵と組ませるのは得策ではない。 ― 会計と体育、図書は単純戦力ではずば抜けるが、田村がいる会計と火薬が組まなかった事は有難いな。となれば上手くいけば田村と平が煽り合いの末自爆、神埼と次屋が行方不明で更に捜索に人員を裂けば戦力は大幅に減少だな…勝機有りか 当の仙蔵が不適に笑っている心中を察し、文次郎の眉間のしわはますます深くなっていった。 しかしその間にも学園長の手はとまることはなかった。 「それと、学級委員長委員会。この三委員会が、第二組じゃ」 「ええ!?我々も参加するんですかー?」 大声を張り上げたのは五年の鉢屋三郎である。当然いつものように司会進行を担当し高見の見物をするかと静観していたのに、まさに予想外の出来事であった。一年生の庄左ヱ門や彦四郎も同じく驚愕を隠せない。 「作法と火薬と学級委員長?なんだその『食えねえ読めねえ予想不可能』な組は!」 「人数こそ少ないものの全く予想がつかない!ある意味怖いー」 ざわざわと第二組への戦力予想がささやかれる中、一部のものが引きつった顔を浮かべていた。 「なあ…気のせいかもしれんが…」 「ちょっ…もしかして第三組って…」 「くじ引くまでもないですよねー…」 「と言うわけで、第三組は残りの、用具、保健、生物に決定じゃ〜!」 学園長の雄叫びと共に、ざわついていた生徒達がぴたりと止まる。 一斉に視線が注がれて…。 先ほどとは種類の違うどよめきに包まれた。 そんな中で伊作は眉をハの字にゆがめ、留三郎は固まっている、更に五年生の竹谷八左ヱ門はがっくりと膝をついて座り込んでいた。 「…伊作と、留三郎と…五年の竹谷と、三年三人、二年一人に…ひいふうみいよ…一年九人かよ…」 指折り数えているのは文次郎である。 一クラス分くらいいるじゃねーかと、呟く文次郎の横で仙蔵が笑いを耐えていた。 「なんか、伊作と留三郎で担任副担任、竹谷が教育実習生って感じだな!」 にこやかに言う小平太に仙蔵がとうとうこらえきれずに噴出している。 更に五年生のうち三人が順繰りに指をさし呟いた。 「善法寺先輩が不運委員長」 「食満先輩が巻き込まれ型プチ不運…それから…」 「あはははは!ハチ!お前今日から、とばっちり不運な!」 「うるせー!!」 大騒ぎの五年生をよそに、伊作は乾いた笑いを浮かべながら留三郎へと声をかけた。 「ま、まあうちは一年生も多いし、怪我をしないように…」 しかしそんな意見は留三郎の耳にも入らないようである。 仙蔵の笑い声と文次郎の馬鹿にした目線、そして小平太の揶揄に完全に頭に血が上っていた。 「ふふふふふふ、やったろーじゃねえか…保健と生物と用具なめんなよ…」 頭に血が上りながらも徹底的に戦略を練っているようだ。 そんな様子を見て、長次がぼそりと呟いた一言は。 「…毒…」 それを小耳に入れた文次郎はふむ…と頷いた。 「ああ…確かに。生物委員会と保健委員会のえげつなさに用具委員会の機動力を生かされたらちょっとばかり厄介だな…」 「うん。保健はえげつないもんな!」 「ちょっとー!えげつないえげつない言うなよ!人聞きの悪い!保健委員特製もっぱん投げるよ?」説得力のない伊作の抗議も無視し、仙蔵が顔をしかめる。 「しかも、用具の…福富と山村に火薬委員会が役立たずにされる恐れもあるな…」 ゲッと顔を引きつらせた久々知兵助は畏怖の視線を二人に向けた。 ― 火薬っつーかオメーだろうが… と思っただけで口には出さなかったのに文次郎の足は仙蔵に思い切り踏みつけられる。 「運は天の配剤とは言うが…まさに分からないな」 誰が呟いたのか分からぬ言葉が風に乗って中庭を吹きぬけた。 「うむ。まさに本命第一組、大穴第二組、台風の目第三組だな!」 「って、大木先生いつの間に!」 がはははと笑う元教師は、学園長へと顔を向ける。 「で、がくえんちょー。種目は何なんですか?」 大木の大声に、はたと全校生徒が我に返った。そうだ一番重要なのはそれなのだ。種目如何によってはどの組が有利になるのかまったく違ってくるだろう。 全員の目が学園長に注がれる。 「う、む。種目は…」 「種目は?」 「…考えとらんかった」 きっぱりと言い切った学園長に数秒送れて教師達がひっくり返る。生徒達はと言えばこける事すらできずに呆然とするのみであった。 「が、がくえんちょ〜〜〜〜〜!!!」 胃痛をこらえた土井の叫びに、学園長が照れたように頭を掻く。 「いやあ、くじ引きして委員会を組分けしてみたかったんじゃが…その後のことは考えてなかったんじゃ」 しかも予想以上に面白い結果が出たんで満足じゃのう、と笑う姿に、生徒達も糸が切れたようにへたり込む。 「ま、そのうちこの組分けで、何かするかも知れんし、やらんかも知れんし…」 ふぉっふぉっふぉと笑い声だけを残して、その場を去る学園長。 所詮、この学園で彼に勝てる者などは居ないことを痛感する一堂であった。 以上書き逃げ。オチも何もあったもんじゃありません(ある意味学園長オチ) 単に用具保健生物の一年じょろじょろ混合チームが見てみたかっただけです。 1年じょろじょろ2,3年おろおろ、5,6年保父さんチーム。 作法火薬学級委員長は少数精鋭?でも問題は5,6年の意思疎通かな。 会計体育図書は(主に会計体育で)自滅パターンに嵌りそう。三木と滝の喧嘩と、行方不明者。雷蔵が喧嘩を止めるか捜索に行くかで悩んで事実上戦線離脱。 うわっ…本気で読めねえ。 |